2 設立趣意書

昭和50年3月15日

 社団法人滋賀県配合飼料価格安定基金協会設立趣意書

 我が国飼料畜産業界の進展はまことにめざましい者でありましたが、反面、めまぐるしく、しかも厳しい変遷を経て参りました。

なかでも、この数年間における飼料原料の異常な高騰による配合飼料価格の改定は数回に及びましたが、一般畜産物価格の低迷は依然として続き、混沌とした情勢のもとに畜産農家の経営不安は増大し、いわゆる畜産危機が叫ばれていることは御高承のとおりであります。

このようななかで、農協系統の全農、全酪連関係ではすでに昭和43年に配合飼料価格安定基金制度を設け、原料高騰による配合飼料価格引き上げの際に、あらかじめ積み立てられた積立金によって一定の補てんを行い、それによって畜産農家の経営を安定させるという制度を続けてこられましたが、私ども商系関係では末端組織化の問題と税制上の諸問題がネックとなり、再三の検討にもかかわらず、その実現をみることができなかったのであります。

しかしながら、昭和48年3月政府の飼料緊急対策の一環として飼料安定基金制度をさらに拡充強化することになったため、かねて懸案であった商系関係者による配合飼料価格安定基金協会飼料安定基金制度の設置について検討せられ、政府当局をはじめ国会方面よりの強力な御支援と御協力により、協同組合日本飼料工業会、同傘下飼料メーカー64社と、商系配合飼料の利用者である畜産農家の代表者、ならびに畜産振興事業団を会員として、めでたく飼料基金の設立発足と相成ったことは周知のとおりであります。

なかでも、基金の対象とする畜産農家は8万人を超える多数でありますため、積立金の徴収、補てん金の交付等の上から緊急に末端畜産農家を中心とした飼料荷受組合を作ることし、全国736の飼料荷受組合を結成し、基金業務の開始と致した次第です。

飼料荷受組合は早々の間に出来上がった任意組合であるのと数が多きに失したため、中央で十分な実施把握、指導監督が出来ず組合の運営にも問題があり、荷受組合整備強化の必要性が要請されて参った次第であります。

その後、第2、第3次飼料緊急対策が発動せられ、畜産農家に対する緊急の特別融資をはじめ財政資金による多額の特別補てんが実施され、加えて一部都道府県市町村段階で畜産農家の損失を軽減するため、畜産農家積立金の一部を助成するという諸施策が講じられて参りました。

このような環境下においても、飼料原料の需給の逼迫と価格の高騰は今なお続き、昨年末から本年にかけまして再度価格改定を余儀なくされる事態となり、政府当局では現在の3基金の上に配合飼料価格安定特別基金を設け、民間資金の他に政府資金による補てん財源を予算化し、この異常事態に備えるという万全の策を講ずることとなった次第であります。

一方、飼料荷受組合についても、昭和48年10月基金事務の簡素化とコンピューター導入という画期的な改善策を取り入れ、組合も422に縮小、整備統合を図り内容の充実と機能の強化を図ったのでありますが、まだ十分とはいえず特に数十県に及ぶ積立金の一部助成の際にも、なお組合の整備強化が殊更に要請されたことは御存知のとおりであります。

従って、以上のような今回の飼料畜産業界に対する並々ならぬ当局の長期安定措置を契機に、このたび私ども商系関係者が寄り集まり全員総意のもとに、私どもに課せられた重大な使命と責務を痛感し、飼料荷受組合を整備強化することは勿論のこと、飼料荷受組合を中心母体として法人組織の滋賀県配合飼料価格安定基金協会を作ることに決定した次第であります。

このような経験と背景を受けて作ります滋賀県配合飼料価格安定基金協会は、畜産農家、特約店、メーカーは勿論のこと商系関係者全体の組織化を図り、中央基金との有機的なつながりをもちながら基金業務の一層の円滑化と関連組織の緊密な連携を保ち、県等の助成の受け入れ、飼料畜産業界の情報の交換、会員相互の知識向上に努力し、畜産経営者の恒久的経営安定化を図り、もって畜産の健全な発展に資する目的を持って、この滋賀県配合飼料価格安定基金協会の設立を企画した次第であります。

ご承知のように食料の確保と備蓄問題をかかえた今日ほど我が国農政が見直されて時はないのであります。従って、この時局にあたり、食糧生産の一翼をになう私どものおかれている立場と今回の積極的な組織化の決意を十分御理解いただき、格段の御協力を賜りたくお願い申し上げる次第であります。

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